ベビーシッターと保育所は並列で考える

音喜多駿著 東京都の闇を暴く(新潮新書)より抜粋しました。

保育所はコストが非常に高いため、基礎自治体はそもそもその新設には及び腰な上に、世論に押されて一定数の保育所を整備したとしても、潜在需要をすべて満たすことは難しいので、待機児童はなかなか減りません。
結果、基礎自治体の財源が圧迫されるだけで、保育園の新設にはさらに消極的になってしまいます。
このように、現在の保育所による待機児童解決アプローチは完全に「負のスパイラル」に陥っていると言えます。

こうした悪循環を断ち切るためには、小規模保育や派遣型保育、ベビーシッターの活用に舵を切ることが有効です。
小規模保育は猪瀬知事時代に一定の補助スキームが確立されましたが、派遣型保育、ベビーシッターに対しては未だにほとんど行政の補助がなく、基礎自治体が独自に行っていることはあっても、東京都はほぼ無策でした。

しかし利用者のニーズに合わせて自宅で保育を行うシステムであれば、需要次第で供給が調整できるので、今後の少子化にも機動的に対応できます。
これは私が当選前から主張していることですが、フランスなどではベビーシッターが保育の中心で、保育所というハコモノに預けられている子どもはごくわずかです。


では具体的にどのように施策を展開していくべきかというと、保育所をつくる、運営するために出している補助金を、利用者側に転換していくだけなのです。
補助金を供給側(施設)から需要側(利用者)へーーーこうした政策を「子育てバウチャーの導入」と言います。
一から新たな財源を作り出す必要はありません。

保育所に行かせたい人はそのバウチャーを保育料に使えばいいし、ベビーシッターを利用する人はシッター代に充てることで、誰もが安価に保育サービスにたどり着くことができます。