便利な介護用品ではなく、人生を楽しむために必要なモノやコトを
彼女はこれまでに、ドイツやフィンランド、カナダを実際に訪れ、海外のユニバーサル事情をリサーチしています。
中でも印象に残っているのは、何よりも「楽しむ」という要素が随所に感じられると いうことだったそうです。
「特にドイツで開催された国際福祉機器展では、機器や用品のいずれも手にとりたくなるような、ワクワク感に満ちたエッセンスがありました。
決して重苦しくなく、生活を楽しむためにも配慮されている。
さすがはインダストリアルデザインの先進国だと感心しました」といいます。
日本のものは便利ではあるし、技術的に高い水準なのは事実ですが、欲しくなるようなデザインではないという感想。
「日本製品を悪くいうつもりはありませんが、“遊び”の精神みたいなものが少々足りないように思います」と続けます。
介助される側、そして介助する側にも、毎日を楽しむ余裕が持てる要素がつけ加 えられれば、福祉に対するイメージも明るくなっていくのではないでしょうか。
バリアフリーでなくても自由に外出できたヨーロッパ
また、ヨーロッパには古い街並みが残っており、石畳の道が あったり、トラム(路面電車)が走っていたりと決してバリアフリーではない環境です。
しかし、不便は感じなかったといいます。
「誰もがさりげなく手を貸してくれる。それが何よりも大きいですね」重いドアを子どもが開けてくれたり、ちょっとした段差があれば、そばにいる人がすぐにサポートしてくれる。
そんな意識が浸透しているのだそう。
日本だと周囲に遠慮してしまいがちな彼女ですが、向うでは自然にふるまえたといいます。