第11回 波瀾だった過去・11(堕ちていく15歳)

高校を中退し

途端に暇になってしまった私は

中学の同級生と遊びはじめた





高校には進学しないで

地元で水商売をしていた友達と再会し

そこで私も働く事にした







当時15歳







初めて仕事をした時の

虚しい気持ちは今でも覚えている







「何でこんなオッサンと話してるんだろ・・・」


「何でこんな事してるんだろ・・・」と



ただただ虚しくて虚しくてたまらなかった







時給2500円

4時間で一万円という15歳には大きなお金



そのために見知らぬオジさんに

お酒を作りながら会話をする





ついこの間まで

青山の高校に通っていた生活とは

まったく別世界の現実に

しばらくついていけない自分が居た気がする





もう早く帰りたくて

嫌で嫌で苦痛で仕方なかったことだけ

なんとなく覚えてる



結局、最初に働いたそのお店は

ほんの数日で辞めてしまった







フラフラと過ごしていたそんなある日

特別仲が良かった訳ではないが

高校の同級生で同じく退学をしたという女の子から

電話がかかってきて会う事になった



その彼女と渋谷で待ち合わせ

お茶をしていた時に声をかけてきた人たちがいる





渋谷のチーマーだ





当時、チームというものが出来たばかりで

センター街を取り仕切る

知る人ぞ知る某チームの

初代メンバーから声をかけられた





その中に居た5つ上の男性が

私と家が近所で地元が同じという事で意気投合し

「君も今日から一員だ!」と言われ

その日から私たちもチームの一員となった







チームと言っても特別何をするわけでもなく

ただ毎日渋谷のセンター街でフラフラしているだけ







109やあちこちを昼間っからフラフラし

夜は、夜な夜な増える仲間と

朝までセンターでどんちゃん騒ぎ



たとえば男の子たちは

30人くらいが突然

センター街のど真ん中で

組体操のピラミッドを作り始める







チームの女の子が

大学生にナンパでもされるもんなら

相手が2人でも30人で

ボコボコにする









そのくせ

関東連がたった2人見に来ただけで

男子が全員いなくなる







今の時代でも

そんなふざけた光景は

渋谷で見たことないし



そんな腐った奴もいないだろう





夜中はファーストキッチンの前で

大勢で並んで寝たこともあるし

センターにあるメンバーのショップの中で寝る事もある





学校に通ってて帰る子も居れば

私のようにずっと帰らずセンターに居る子も沢山居た








当時「トゥナイト」という番組がよく取材に来ていて

「あなたたちは何ですか?」と

マイクを向けてきたことが何度かあった





「チーム~~~~♪」と

手をサーフガールのようにしてポーズをとり

数人で馬鹿丸出しで映る


そう、そんなことでしか

自分の存在をアピールできなかったから・・・






1~2週間ぶりに帰って

母と久しぶりに会っても

「あ、さおちゃん元気だった?」と言われるだけ





渋谷で万引きした物を持って帰っても

「何それ?いいね!ママにも持ってきてよ♪」

と言われるだけ







もっと心配してほしかったし

叱っても欲しかった



寂しさや虚しさは募る一方だった










そして、チームの男の子にマリファナを勧められ

手を出したのもこの頃



葉っぱもチョコも・・・











正直私には合わなかったから

ハマる事はなかったし

そんなところでそんなことをしてること自体

自分がどんどん堕ちていく気がして情けなかった








そう、ここでも楽しさはフェイクで

どこにもない居場所をただココに求めていただけ





チームの子たちも友情なんて実際なくて

地元に居場所のない子たちが集まって

自分という存在をアピールしているだけの

フェイクの世界だった







そして、そんな中

私は渋谷のセンター街でリンチ未遂に遭った・・・







それに関しては詳しくは書かないが

渋谷の様々なフェイクに

ココは自分の居場所じゃないと

私は2ヶ月でセンターに行くのを辞めた













私の居場所探しは

まだまだ始まったばかりだった・・・